75-85

アパレル、雑貨を中心とした小売・メーカーで働くひとたちの話。…だったが、今やコンサルタントの雑記。

第5回『83年生まれ 信念を持つデザイナー』 その4(終)

第5回『83年生まれ 信念を持つデザイナー』 その3 - 75-85
からの続きで、今回のインタビューは最終となります。

私が感じた3つの強み中で

■ 当時のチームメンバーの強みを正確に詳細に答えた
■ 店長をやりながら企画提案を本部に提出してきた

2つを前回記事にしました。

今回は、3つめの強みとまとめです。
以下ご覧ください。


■ 数字責任意識が非常に強い

彼女は、売上意識が非常に高いと感じた。
ここで言う売上意識には「2種類」ある。

一つは、日々の売上に対して。

商品部に携わるひとの場合、
時々、今の売上をちゃんと知らない(興味が薄い)
というケースがまれにある。

常に半年先や1年先を見て、仕事をしていかなければならない。
そういった職種のために仕方ないかもとも思うのだが、
時折そういうケースに出会うと、残念に思う。


特に自分が店長だった時代を思い出す。

「1日1日のやりがいや責任を重く感じやすい職種」・・・という
店舗の仕事の場合は特に、

先ばかりみて、今の状況から目を背けているように見える
(あくまでもそう見えてしまうという意味)
商品部に対して、やきもきしたこともある。

当然今となっては、両方の立場の気持ちがわかるのだが、
このギャップ、ジレンマを埋めることが出来れば、
幾分か、店舗と本部の距離は埋まるのに
。と今でも日々思う。

彼女は、
「日々の売上、日々の商品動向を必ず自分でチェックしていた」と、語る。
朝出勤して、まず売上確認。商品動向のチェック。

日々企画業務に忙しい中、どれくらいの時間をかけて
自分の企画した商品だけでなく、ブランド全体の売上確認が出来ているのか、
これは、そのひとの売上意識のバロメータにもなり得ると思う


もう一つは、そもそもの「¥」の感覚についてだ。

「当時***億のブランドで、このアイテムを任せられているから**億の責任があった」
私には、実数を元に話しをしてくれた。

日々、感性的な、定性的な業務に追われていると
どうしても「¥」感覚が鈍くなってくるのは、
ある意味で仕方ないのかな、と筆者は思ったりもする。

変に売上規模がプレッシャーになってしまっては意味が無いのだが。

商品企画に携わっている方の話を聞いて、時折あるのが

「売上点数」には敏感だが、
「売上金額」には鈍感、というケース
だ。

数量を多く売る視点ばかりだと、
どんどん安いものばかり作ろうとする嫌いがある。

でも、店舗は、むしろ事業としてはあくまでも「¥」だ。
これも店舗とのギャップになる。

点数を多く販売しなければならないことは、
接客・レジ作業・陳列・ストック、など
それだけ作業が多くなることになる。

きちんとした戦略があってのプライス設計であれば良いのだが、
「売上点数=評価」になってしまうような空気は、
あまりよろしくないと思っている。

色々と見解を文章にしたのだが、
今上げた考え方、その感覚を強く持つデザイナーが
実際にはこうして目の前にいる。

彼女の場合店舗で働いていた経験が、生きていることは間違いないのだが
店舗経験がなくとも、店舗と対話することで
この感覚をなんとなくでも、意識することは出来ると思う。


全4回になってしまった、第5回のインタビューはここで終わりです。

あっという間に、5回のインタビューが終了しました。
次回は、少し今までのインタビューを振り返って、
たくさんのお話をうかがえた感想などを記事にしたいと思っています。

引き続き、インタビュー希望は受け付けておりますので
どうぞよろしくお願いいたします。

1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック

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新シリーズの告知

本日は、新シリーズの予告です。

私は、MDコンサルタント業務の傍ら
「目利き力」に関わる、実証実験やセミナーなどを行っております。

「目利き力」というとなにやら堅苦しい表現ですが
マーチャンダイザーの必要業務のスキルの一つでもあると思います。
(スキルのあくまで一つでしかない、ですが大事だと思っています)

簡単に言ってしまえば
『何が売れるのか?』を見極める力、を鍛えたいということです。

色々と「目利き」については、
現役MDや、それに準ずる方々には、日々判断を迫られているでしょうし
なかなかに重い業務なのですが

せっかくのこういったブログの場ですので、
みなさんが、普段取り扱わないであろう商材に目を向け
なぜこの商品が売れているのか、を楽しみながら思考するような
記事を書いてみたいと思っています。

記事の中で大切にしたいと思っているのは
「判断のものさしづくり」の訓練を、読者の方とする、ということです。

どのような形で、記事を書くのかは現在思考中ですが、
クイズのような形が取れれば、楽しめるのではと思います。


話しの視点を少し変えます。
今ペットボトルの飲みものが目の前、鞄の中、手元にある方。

仮に、なぜ「その飲み物を買ったのですか?」と問います。

「値段が安かったから?」
「さっぱりと、炭酸が飲みたかったから?」
「色々なお茶があるけど、何故その銘柄?」
「直前にCMを見た?」
「いつも飲んでるから?」
「近い自販機にあったのがコレだったから?」
「自販機にはたくさんの飲み物があるのに、なぜそれを選んだ?」

とにかく、どんな理由かは人それぞれですが、
「あなたの何かしらに響いたから、その飲み物を手に取ったはずです」


話しを元に戻します。
今。大多数のひとびとが「どういう基準、価値観、考え方を持っているのか」
その基準を「ものさし」と表現します。

その「ものさし」に、どんなものがあって、
どんな「ものさし」が、多数の支持を得ているのか。

それを、だらだらと考察しながら記事にしていくつもりです。

小難しい話しと思われる可能性がありますので、
次週以降、実際に画像などを使って、
カジュアルに記事にしていこうと思います。

どういう形になるのか・・・少しお待ちください。*1

*1:小難しい文章を書いて申し訳ないです・・・

第5回『83年生まれ 信念を持つデザイナー』 その3

第5回『83年生まれ 信念を持つデザイナー』 その2 - 75-85
からの続きです。今回が3回目になります。

商品企画になってからのストーリーについてが
今回のテーマです。

店長を経て、商品企画へ。
以下ご覧ください。


いくつかの発言を頂いたが、印象に強く残っている話がある。
それを今回は紹介していこうと思う。

■ 当時のチームメンバーの強みを正確に詳細に答えた

彼女は、終始「自分は大したことは無い」と言う。
筆者からすれば、彼女の謙遜以外の何でもないのだが、
これも、前回記事で触れた内容の通り
「自分に対して厳しい」のでは、という仮説に沿えば納得出来た。

変わりに、と言って良いだろう。

彼女は、企画のチームメンバーの強みを正確に答えられた。
自分に対する評価は厳しいものの、
周りにいるスタッフに対して、冷静に良いところを見つけることが出来る。

一言でいうのならば「とにかく謙虚で視野が広い」のだろう。

前回の振り返りにはなるが、
この強みが、おそらく店舗でも実践されていたのだと思う。
「相手の良いところを見つけて、伸ばす、素直に尊敬する」を
店長時代は愚直に続けていたのだと思われる。

いわゆる「適材適所」構築に長けている、ということだろう。

普通は、
「自分に厳しく、相手にも厳しい」であったり、
「良いところを見つけようとしても、悪いところばかり見つける」
のようなことが、日々過ごしていると起きやすいと思うのだが

彼女にとっては、ごく当たり前に(おそらく)、
相手の良いところを見つけることが出来る
ようだ。

仕事のやり方を、素直に学び、盗み、自分のものにしていく。
こういった能力はどんな業界、職種でも貴重だ。

■ 店長をやりながら企画提案を本部に提出してきた

彼女は、店舗にいる間に店長業務の傍ら、
ずっと商品の企画を本部に提出し続けた。

実際に提案した企画は、商品化され売上実績がでたとのこと。

話を聞くと、本当に「寝る間も惜しんで」と企画書を作ったと言う。
現場からの商品企画を、企画書ベースで提案し、
実際に商品化するというのは、大変なことと思う。

単に、こういう商品がほしい、という口答ベースなら
現場にいれば、ある程度誰でも出来ると思う。
ただそこには、責任の所在も曖昧な提案だけが残り、
売れなければ商品部の責任になる
ことが多い。

企画書ベースでの提案は、そういった責任が、
提案者本人に、口答ベースよりもずっと重くのしかかることだろう。


このエピソードも、「企画をやりたいという信念」であると思う。


今回はここまでです。

本当は、3つの強みを感じたのですが、
やや今回は長くなってしまいましたので、
最後の3つめとまとめは次回に持ち越しです。(すいません)

このインタビューは次回で最終回になると思います。

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いいデザイナーは、見ためのよさから考えない (星海社新書)

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