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アパレル、雑貨を中心とした小売・メーカーで働くひとたちの話。…だったが、今やコンサルタントの雑記。

小売りにおける「DB・ディストリビューター」について記事を書いていこうと思います。

■ はじめに

ネットで「ディストリビューター」を検索しても、小売業界のいわゆるアパレルや生活雑貨における職種としてのディストリビューターの情報はほぼ出てきません。さらに言うと、世の中に書籍も目立ったものは無いように感じています。「アパレル ディストリビューター」で検索すると、近いような情報がが出てくることには出てきますが、基本的なお仕事紹介のようなものが多いように見受けられます。ネットの中に情報が少ないのであれば、少し「DB」「ディストリビューター」のことについて記事にしてみようと思いました。

幸いにも、私は現場時代にディストリビューション業務の経験があり、コンサルタントとしてもMD・DB両方支援させていただいておりますので、少しは情報を持っている方であると思います。ここではコンサル的な小難しい事ではなく、また職種・職務内容の紹介という訳でもなく、現役のディストリビューターやこれからディストリビューターを目指す方に向けたような内容を記事に出来れば良いなと思っています。

■ そもそも、小売業界におけるディストリビューターとは

普通にWikipediaを見ると、以下の様な情報が書かれています。

ディストリビューター(英: Distributor)は、火花点火内燃機関の点火装置を構成する部品のひとつで、点火電流を各気筒の点火プラグに分配する装置である。デスビと略して呼ばれる場合もある。
ディストリビューター - Wikipedia

・・・。小売における視点とは、残念ながらまったく違う情報ですね。
このように「ディストリビューター」で情報を検索しようとしても、中々欲しい情報には辿り着けません。

少し頑張って、流通軸で「ディストリビューター」を調べていくと「販売代理店」「卸売業者」的なニュアンスで書かれたものにたどり着きますが、それも少し求めている情報とは違うと思います。

■ ディストリビューターのミッションとは

MD・バイヤーが発注・調達してきた商品を
各店舗に「適正に」「効率よく」配分する事 店頭在庫を整える事

という内容が、私がコンサル内でお伝えしているミッションです。

配分の精度次第で、各店舗毎の売上は大きく変わります。例えば売上の高い店舗に少量の在庫を配分していては、売り逃しをしますし、売上の低い店舗に在庫を送り込み過ぎると、在庫があまってしまいます。「どの店舗に」「何を」「どのくらい」送れば一番儲かるのか(売上最大化・在庫極小化)を判断しアクションする仕事になります。

また職務としては上記に、在庫のコントロールが加わる場合が多いです。適正な価格に売価を変更して消化をはかる、というような業務になりますでしょうか。
ディストリビューターは「配分」と「消化・在庫処分」の2軸を受け持つ事がほとんどです。

■ ディストリビューターが日々意識すべきこととは

□ 店舗ごとの売上規模や仕入高、回転率や在庫状況などの計数情報の把握
□ 店舗ごとの特徴(客層・強み・弱み・価格帯・売場面積など)の把握
□ 定量データ分析だけではなく、実際の店頭を確認、店長の声などを聞き 情報を蓄積していく

という3点をお伝えさせていただいております。

ディストリビューターという仕事について、時々誤解を生じるのが「パソコンの前に座って、データとにらめっこしながら、配分業務をしている」という内容です。私の経験上、いわゆる定量(データ)だけで、DB業務を行って上手くいくケースはほとんどなく、定性情報・店舗情報・店舗の声などを上手く反映している方が業務として上手くいっているように思います。ですので、良いディストリビューターは、良く店舗に行き、店長と良く会話し、他部署とのコミュニケーションを良く取る方が多いように思います。

■ キャリアについて

良く職種について紹介されている一つに「MDへのステップアップ」というものがありますが、半分賛成半分疑問という感想を持っています。MDになるにあたり、店舗軸/在庫軸で業務を行った経験というのはおおいに役立つことは事実です。ですが、様々なキャリアを積んでDBになる、というケースが効果的であると考えています。商品部と店舗との間に立つ事も多い職種のため、コミュニケーション能力を求められる場面が多いためです。また、店舗には作業をお願いするような場面も多く(店舗間移動や売価変更など)、一方的な指示では上手く関係性が築けない事にもなります。

■ 今後の記事について

今年一年、ブログをほったらかしにしてしまっていたので、少し頑張って定期更新をしたいと思います。DB・ディストリビューターに対しては個人的に思い入れも強いので、書きたい事は結構あります。なかなか内容としてはニッチなもので、エクセル記事でたどり着かれた方には何にもならないのですが、ディストリビューターのために少しでも有益な記事が書ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


脳みそのギアチェンジを意識すると仕事が捗る話

コンサルタントになってから意識していることのひとつに「思考のギアチェンジ」というものがあります。

自然に行っているひとも沢山いますので、偉そうに語ることではありませんが、私自身、意識して身につけたことですので、少しまとめてみることにします。

■そもそも「思考のギアチェンジ」とは

私が意識しているのは、場面場面に合わせて、「トップギア」と「ローギア」を切り替えてものごとを考えるというクセのようなものです。

具体的には、

今こそ、トップギアに入れなきゃ!

ここはゆっくり、ローギアでいこう

など、頭の中で切り替えるようにしています。

■「トップギア」に入れる場面とは

ほとんど場合、即答が迫られるような場面で「トップギア」に入れます。知識・経験・その場の思考を総動員して、質問に対する回答を脳みそフル回転で考えなければならない状況です。プレゼン中にいただいた質問であったり、ミーティング中に話しを突如ふられたり、突然話しかけられて質問されるような場面では「トップギア」に意識的に入れます。総じて、このような場面は相手が「即座に"回答"」が欲しい場面ですね。とにかくスピード感を意識しなければならない状況です。

■「トップギア」のデメリットは

基本的には、そもそも常に「トップギア」の方が良いと考えがちではないでしょうか。質問に対して即回答。一見よさそうに見えます。ですが、トップギア状態というのは、いわゆる車で例えると高速道路をフルスピードで走るようなものです。車の免許を保持している、もしくは現在教習中の方の方がなじみが深いかと思いますが、JAFのホームページによると、

運転者は視覚で多くの情報を得、注視点で物体の動きを認識する。
一般に速度が高まるほど動体視力が低下し、物が見えにくくなる。
130km/hの視野範囲は30度で、低速時より危険認識能力が減退する。

速度と視野の関係を教えてください。|JAFクルマ何でも質問箱

というように、上記は運転中の例ですが、思考においても視野が狭い回答になるリスクがあります。当然質問に対する、ピンポイントで正しい回答をすることが求められているのですが、物事を大局的に捉えにくくなる可能性を秘めていると考えています。こういった場面では、経験やベストプラクティスに頼りがちな回答となります。

一番良いパターンは、その質問を事前に想定していて、回答を準備しておりピンポイントで的を射ることです。そのように上手くいくこともありますが、質問というのは想定外のものもありますので、できる限り想定外の質問にならないように事前シミュレーションをしておくことも大切かと思います。

■「ローギア」ってサボっているだけじゃないの?

サボっていません。私自身、意図的にローギアに入れて考える場面というものがあります。

  • じっくり方向性を模索すべき場面
  • 質問を想定している準備時間
  • 課題の具体的解決
  • 戦略検討

などの場面では、完全に「ローギア」に入れています。ほとんどの場合「一人で考えている」時は「ローギア」です。
 
「ローギア」というと、どうしてもスローモーションなイメージもついてまわりますが、車の運転時に例えると、走り出し、急な坂道を上るときや周囲の安全に気を配るような場面、滑りやすい路面などを走るときに使うものだと思います。

■「ローギア」は上手く活用すると、良質なアイデアが生まれる可能性がある

私の場合「今はローギアで考えるべき時間だ」と思って、思考します。ポイントはそのように一度自分に働きかけることです。ゆっくりじっくり考えることで生まれるアイデアがありますので、使い分けが大事だと思います。

■「ローギア」と「トップギア」を即座に切り替える訓練

まだまだ訓練中ですが、今どのように脳みそを動かすべきなのか、を意識することが大切なのだと思います。急に電話がかかってきた時、突然質問が飛んできた時、ローギアのままでは相手の期待を裏切るようなことになってしまいます。とにかく即座にギアチェンジが出来るようにすることが大切だと思います。

■ブログはどのギアで書いている?

何を書こうかな・・・は「ローギア」で、書き始めたら「トップギア」で書いています*1

この応用がプレゼン資料作成です。ページネーションを考える時は、「ローギア」でじっくり、ロジカルな流れになっているか?聞き手には伝わるか?を考え、実際の作成に入ったら「トップギア」で一気に作り上げます。プレゼン資料はブログとは違い、誤字脱字は許されませんので、

  • 「ローギア」(ページネーション、結論を検討)
  • 「トップギア」(一気に作成)
  • 「ローギア」(誤字脱字チェック、相手に本当に伝わるかを検討)

というプロセスを経て完成させる事がほとんどです。

そしてプレゼン本番では、

  • 「ローギア」(プレゼンテーション時)
  • 「トップギア」(質疑応答時)

という流れを意識しています。

■まとめとして

そもそもコンサルタントになる前は「トップギア」に入れてフル回転で物事を考える場面ということそのものが少なかったように思います。今思うと、ずっと「ミドルギア(?)」に入りっぱなしで、意識も特にしていなかったように思います。さらに訓練して「トップギアの限界突破」と「トルクのあるローギア」を身につけられるように日々努力したいと思います。

普段車乗らないひとにとっては分かりにくい記事でごめんなさい。

*1:だから誤字脱字が発生。言い訳です

普通のアパレル販売員だった僕が、コンサルタントになるまで

この記事を書こうと思ったのは、一通のメールをいただいた事がきっかけです。昔書いたインタビュー記事や、リンク先に私のメールアドレスを公開しているのですが、そちらにとある質問をいただきました。メールを数回やりとりし、回答する代わりに匿名でブログに公開しても良いかご相談した所、ご承諾いただけましたので記事にしてみることにしました。

■ 注意

この記事は、転職活動、アパレルからの転職をおすすめ、推進するものではありません。
一つの会社、ブランドを大切にして勤め続けることは、非常に素敵なことだと思いますし、継続しているからこそ身につくこと、力が付くこと、見えることも沢山あります。また退職という途中離脱は、どのような形でも中途半端な面は残りますので、やり続けることも私は素晴らしいことだと考えています。その部分を踏まえて、以下ご覧頂ければと思います。


質問のメールの概略は以下のような感じでした。(文面からは性別は判断が付かなかったですが、おそらく女性?)

わたしは、20代後半のとあるショップで働くショップスタッフです。時々ブログ見てます。昔のブログに元ショップスタッフであるみたいな内容があったのですが、どのようにしてコンサルタントになったのですか?!もうすぐ30代を迎えて将来が心配です。お給料やお休みの事など今のままでよいのか。。。アドバイスがほしいです!

のような内容でした。(一部内容を修正させていただきました)

なかなかブログ読者からメールが直接来ることは無かったので、戸惑い反面メールを頂けたことが非常に嬉しかったので、返信させていただきました。その内容をまとめながら記事にしてみることにしました。大筋メールの返信の流れと同じになりますが、ブログ向けにまとめております。

■ プロフィール

2017年12月現在、私は38歳です。コンサルの世界には約8年前の30歳の時に飛び込みました。元々は大学卒業後内定をもらった企業にとあるファッション企業に新卒として入社し、一般の販売員、サブ店長、店長と一部の本部職を経験し退職。その後若干人生に迷いながらも、再び別のファッション企業に入社し、1ヶ月の店長業務を終え、本部に異動。入社当時小さな会社だったので、ありがたい事に色々な職種を経験させていただきました。しかしながらこの文章だけだと、とんとん拍子にキャリアアップしているように見えますが、毎日試行錯誤の連続でした。

■ どのようにしてコンサル業界に飛び込んだのか

そもそもコンサルタントという職種に興味を持ったのは、前職で本部社員として働く中、定期的に往訪いただいていたコンサルの方との出会いからでした。実際にコンサルティングを受け、テキパキと問題解決のアイデアを出す仕事ぶりに憧れを持ちました。それと同時進行で、数年がむしゃらに働く内に、メールでご質問いただいた方と同じく、30代以降のキャリアプランに不安を強く感じはじめました。また元々変化を好む飽きっぽい性格も相まって、変にルーチン化しつつある業務にだんだんとやりがいが弱くなり、無理をして働いていたように思います。

結局退職することとなり、数ヶ月自問自答を繰り返した後、転職エージェントなどにも相談に乗っていただいたり、実際に転職活動としていくつか企業も受けましたが、(卸メーカーや面白い所で塾の教室長、なんかの面接にも行きました。数回の面接を受けて内定も頂きましたが、結局辞退してしまいました。すみません・・・)

「自分もコンサルタントになりたい!」と真剣に考えはじめました。

とはいえ、普通の就活サイトにアパレル向けのコンサルタントの求人など無く、「はてさて、どうやったらコンサルタントになれるのか?」と日々悶々としていた所にひとつの出会いがありました。

流れとしては、「アパレル向けコンサルを生業にしている会社をネットで見つけた」→「社長さん宛にメールをする」→「会うことになる」→「コンサルタントになった」という、今思うと、縁、というのは不思議なものだと感じるストーリーでした。今思えば、謎の行動力を発揮していたように思います。実際にコンサルタントとしてご飯が食べられるのかの不安は無く、まあがむしゃらにやればなんとかなるだろう、と思っていたように記憶しています。

■ コンサルタントになってから、どんな生活だったのか

コンサルになりたての自分には、当然仕事などなく、ただひたすらに勉強に明け暮れました。今まで、経験だけで行ってきた本部業務を一旦すべて捨て去り(これが良かったと思っています)、ケーススタディやビジネス書をとにかく読み、考え、まとめ、自分なりに解釈し、プレゼン資料を練習がてら作ったり、プレゼンを無関係のひとにきいてもらって感想を伺ったり、など1円にもならないことをひたすらにやっていました。ただこのときは、将来への不安はあまり感じませんでした。

■ チャンスは思ったより早く訪れた

本当に自分は運が良かったと思うのですが、とあるプロジェクトに参画できるチャンスが訪れました。そこから私はコンサルタントとして実際に報酬を受け取り、実際にクライアントの前に立つことになります。そこからは、ひたすら勉強ばかりしていた鬱憤を晴らすかのように、コンサルタントという仕事にのめり込んで行くことになります。

■ コンサルタントという仕事を正確に理解し、やりたいと思うのならば

「コンサルタントになりたい!」と、心から考えているのであればチャレンジする価値はあると思います。コンサルタントになって、早8年。もうすぐ私も40代になってしまいますが、周りに同世代のコンサルタントの知人はいません。(少し上の世代にはいらっしゃるのですが)コンサルタントになりたい、という強い思いがあるのであれば、仲間が増えるのは嬉しいですし、是非頑張っていただければと思います。



・・・という様な流れのメールを返信いたしました。(本当はこんなには長くない、簡単なメールでしたが)

末筆に以下の内容も記述いたしました。

冒頭にも記述しましたが、一つの会社、一つのブランドとじっくり一緒に成長することも素敵なことだと思います。今勤めている会社が長いのであれば、そのキャリアを失うことは、もったいないです。メールだけの文章のやりとりですし、じっくり良くお考えになってください。

以上、かなりの自分語りではありますがご参考まで。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

もしご興味がある方は、このサイトのどこかの記事にあるアドレスまでご連絡ください*1

コンサル一年目が学ぶこと

コンサル一年目が学ぶこと

*1:お返事出来るかは不明